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夜鍋

青苧復活夢見隊:2011/12/29

先日、新聞の投書欄で中学生の男の子が「お母さん、夜なべって何が入ってるの」と訊いた旨を読みました。

今年は例年になく雪の積もるのが早いのですが、しんしんと雪の降る中、黙々とアンギン織りをしていると「これは夜なべだなあ」と思います。

ただ、黙々とするのも一時間くらいが限度で、後は音楽でも聴きながらでないとやれません。

 

始めはジョージ・ハリスンから入ってジョージの世界とスライドギターを満喫します。

ジョン・レノンを偲んだ曲「all those years ago」を聴くと僕もジョンが懐かしい気持ちになりジョンに変わります。

ソロとなってから、特に晩年のジョンの音楽の偉大さ、やさしさに気持ちも空気もしんとなったら、今度は盟友ポールの『フレイミング・パイ』に移り、ジョンがポールと同じくらい生きていたら、歌でどんな会話が出来ただろうと想像します。

続いて彼らも憧れたプレスリーを聴き、ジョンやポールもプレスリーの歌い方を真似たのだろうなあ、特にポールはそっくりだなあと一人でにやっとしては感慨に耽ります。

その間も手は休みなく動いているわけですが、黙々としているころに比べるとやはり時間の経つのは早いです。

 

雪国では雪が降れば朝早くから起き出して家の前や道路の雪かきをします。

いずれは溶けてなくなるもので、やってもやっても一銭の得にもならない仕事ですが、人々が黙々と雪かきをしている姿を見ていると、僕は不思議と人間の営みというものを感じてしまいます。

まだ暗さの残る静寂の中、聞こえるのは自分の足音と呼吸だけ。

意外と視野も狭くなるため、自分と向き合うには格好の時間なのでしょうか。

そうした後ろ姿から僕は仕事以上の何かを感じてしまうのかも知れません。

 

早起きは三文の得だけれども、こうして色々と考えを巡らせられるという点では夜なべも損ではないなあと思います。