焼き畑2014
青苧復活夢見隊:2014/05/18
今年も焼き畑の季節がやってまいりました。
年々拡大の一途をたどる参加者数は、今年はなんと80名!
その半数を占めたのは東北芸術工科大学の学生さんたち。
新設されたばかりのデザイン工学部コミュニティデザイン学科と芸術学部工芸学科テキスタイルコースの皆さんです。
それに県庁、役場、大学の先生方、取材の方、お手伝いの方、我々メンバーなどを加えて、夢見隊史上最大の大所帯が形成されました。
これだけ大勢だと、あちこちで挨拶&立ち話が発生し、作業中も次々に相手を変えながら話の輪が広がっていきます。
作業という名のピクニック、あるいはわずか四畝の土地に放り込まれた日本人の坩堝といった感があります。
よく人海戦術とかローラー作戦などと言いますが、人が沢山いるというのはそれだけで威力です。
自分一人で80分かかる仕事が1分で終わる。
80回往復すべきところが1往復で済む。
正直、夢のような話です。
振り返ると自分がやった仕事の何十倍もの量が同時に進んでいるんですから。
ちょうど田植えが始まる時期でもありますが、昔の田植えのように村人が総出するような時も先人は同じような感慨を抱いたでしょうか。
昔も今も頼りになるのは人手(出)です。
初めての方が多い中で、一体どんな風に作業が進むだろうと段取りの心配などしていましたが、誰かが動けば自然と他の人もそれに加わる、作業が変わればいつの間にかみんなもそれをやっているといった具合で、場や状況を一瞬で察する我が同胞の長所が如何なく発揮されていました。
魚はよくあんなにパッパッと向きを変えられるなあと感心しますが、あれは頭が動いてから体が付いて行くのではなくて、一つ一つの細胞が同時に行動を起こすからあれだけ一瞬で動くことが出来るんだそうです。
群れ全体で見ても一匹一匹が細胞となることによって、全体として調和のとれた行動が出来るのでしょう。
失礼ながらそのような視点で見ると、今回の焼き畑でも、一人一人が自分の意思で動きつつ、全体としては魚の群れのごとく同じ方向を向いていたということになるでしょう。
前回、ミジンコやハエの話をしましたが、私たちは実は魚であったのかも知れません。
そして大海原の代わりに畑に火の海を出現させるや、みななんとなく故郷に帰ったような安心感と高揚感に包まれました。
人と一緒に自然の中で作業を行うというのは、私たちの細胞に組み込まれた安息の地なのかも知れません。
ペーストにする葉っぱや塩蔵する茎を摘み取ってから火入れ用の藁を敷き、火入れ後は鶏糞と菜種油粕を撒いて作業は終わりました。
前日の雨や強風の心配などなんのその、天候にも恵まれて賑やかな焼き畑でした。
ある意味、祭りのようでもあり、神が降りてきても何ら不思議のない、そんな空間だったような気がします。
ハエに追われ、ミジンコに負ける日
青苧復活夢見隊:2014/04/29
昨年七月に訪れた「越後青苧の会」さんから青苧の根を分けて欲しいというリクエストを頂きました。
今日は久しぶりにメンパーが会して、その根っこ取り作業を行ないました。
普段知ってる人でも久しぶりに会うとなると、なんとなく気恥ずかしい感じがするものです。
見た目にも「あれ、少しやせたかな」とか「髪型変えたな」とか多少の変化が見られ、気持ちの面でも馴染むまで少し時間がかかります。
人の体は三ヶ月で全細胞が入れ替わるというのですから、久しぶりに会ってちょっとした戸惑いを覚えるのも無理はありません。
そういえば、遺伝子の数というのは、人で2万2千個、ハエでも1万数千~2万個だそうです。
「万物の霊長」たる我々とハエとの差はわずかということでこれだけでも驚きですが、さらにびっくりなのはミジンコで3万1千、植物のイネに至っては3万2千個という事実です。
先頭をぶっちぎりで走っていると思われた人間は、遺伝子数レースにおいてはイネやミジンコに何馬身差も開けられていたのです。
ミジンコの遺伝子数が多いのは、昔から環境変化に対して、いろいろな反応をしているからということのようです。
例えば、ミジンコは自分が食べられそうになるとトゲを生やすなど体の形を変化させて、捕食から逃れようとします。
また、水中の酸素が少なくなると、ヘモグロビンの量を何十倍にも増やして赤くなったりします。
周囲の環境に合わせて速やかに自分を変化させる能力が人などに比べ突出しているわけです。
そうして、どの生物よりも速いペースで自らのクローンを作って繁殖する際に、遺伝子の数も倍増していくのだそうです。
そうすると、種の生き延びる能力の優劣というのは、身体の大小や頑強さではなくて、周りに合わせていかに柔軟に対応できるか、自分を変化させられるかということになります。
イネが人やミジンコよりも遺伝子数が多いのは、植物は基本的に場所を動かないため、より環境に対する適応能力を持っているからではないかと思います。
そうした目で見ると、スコップで力任せに掘り返している青苧の根っこもとんでもなく高等な生命体であと思えます。
「俺たちの知らない能力どれだけ隠してんの?」と思います。
果樹栽培でも、いろいろと勉強して良かれと思ってやったことがかえって仇になることもあり、彼我の疎通の難しさを痛感することはしょっちゅうです。
相手のことを知らない内は、余計なことは出来ません。
こうして、自分の脳みそと植物とで見えない会話をする楽しさはやはり現場に出ないとわかりません。
今年も青苧の作業がスタートを切りました。
変わらず日々の雑感を記していきたいと思います。
あおそなでしこ
青苧復活夢見隊:2014/02/09
東北生活文化大学家政学科服飾文化専攻さんの展示会「RAMIE×RAMIE」に行ってきました。
この日は東日本太平洋側を中心に記録的な大雪!
翌日のニュースでは仙台の積雪量はなんと78年ぶりとなる35cmを観測したとのことです。
78年前というとうちの親父もまだ生まれていません。
普段、山形で見慣れている雪景色も仙台で見ると、まるで心象が違いますねえ。
山や川に降るのと、コンクリートに降るのとでは感じ方も随分違うものです。
会場のすぐそばまで来ているのに、道路に出してあった企画展の看板も雪で真っ白になっており、たどり着くのも一苦労でした。
家政学科服飾文化専攻さんは2013年4月から青苧をメイン素材としてファッションアイテムを企画・設計するプロジェクトをスタートさせており、今回はそのお披露目です。
展示会のコンセプトは「あおそなでしこ」。
青苧の強さ美しさと、サッカーのなでしこジャパンに象徴されるような現代の女性の力強さ、輝きをかけ合わせたイメージです。
青苧は何より繊維が丈夫だし、きらきらとした美しさを感じる素材なので、青苧製品を身につけた女性にも健やかに輝いてもらいたいという願いが込められているようです。
イメージキャラクターの「ラミーちゃん」やポスターのデザイン等にも若い女の子らしい可愛らしさが溢れていました。
会場の「ライトソース」は10人も入れば手狭でしたが、学生さん達の笑顔とハツラツさで展示スペースはとても明るかったです。
それにしても「あおそなでしこ」とは良いネーミングをしたものだなあと感服しました。
語呂もいいし、意図もよくわかるし、「やまとなでしこ」もいいけれど、「あおそなでしこ」も負けてないんじゃない?
私には学生のみなさんが「あおそなでしこ」に見えました。
学生さん達も夏に畑に来て、刈り取りや苧引きの体験をしていたこともあり、生産段階からの素材を知っていたことは製品を作る上で大きかったのではないかと思います。
その過程を知っているもの同士だと、また話の中からいろいろなアイデアが出たりして、みなさんの若い感性と夢見隊のメンバーの持つ知識、経験がうまいこと融合できれば最高です。
青苧に興味を持ってもらって、こうした形で取り扱ってくれるだけでも広がりを生むという意味で大変ありがたいことです。
今年も継続して取り組んでいただけるとのことで、これからさらに良い形にしていきたいですねえ。
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